✈️Voyage 83. Shibaのエアラインパイロットなっちゃった大冒険記

query_builder 2026/08/03
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怒涛のマレーシア編

Ⅴ. 人生初のDCA試験

マレーシアでの生活にも、少しずつ慣れてきました。

……と言いたいところですが、毎朝だけは最後まで慣れませんでした。

まだ外は真っ暗な午前5時前。

突然、街中のスピーカーからコーランの朗唱が響き渡ります。

イスラム教徒が多いマレーシアでは、ごく当たり前の朝の風景です。

最初は何事かと思って飛び起きました。

ようやく静かになったと思ったら、今度は近所中のニワトリが一斉に鳴き始めます。

コケコッコー!!

コーランが終わればニワトリ。

毎朝このリレーで目が覚める生活でした。

最初は戸惑いましたが、不思議なもので、それもいつしかマレーシアの日常になっていました。


昼はMalaysia Flying Academy(MFA)でATPLの授業。

夕方になるとマコタ・コンドミニアムへ戻り、マラッカ旧市街のお気に入りのカフェへ向かいます。

注文するのは、決まってテタレ(Teh Tarik)

マレーシア名物の甘いミルクティーです。

初めて飲んだ時は、その甘さに驚きました。

それでも毎日のように飲んでいるうちに、勉強のお供として欠かせない存在になっていました。

教科書を開く。

  • Air Law(航空法)
  • Aircraft General Knowledge(航空機一般知識)
  • Flight Planning & Performance(飛行計画・性能)
  • Human Performance & Limitations(ヒューマンファクター)
  • Meteorology(気象)
  • Navigation(航法)

全部で6科目。

MFAではグランドスクールの進み具合に合わせて、2科目ずつDCA学科試験を受験していくスタイルでした。


ATPLの勉強自体は、実は初めてではありませんでした。

ニュージーランドでCPL(事業用操縦士)を取得したあと、すぐにオーストラリアへ渡り、ライセンスを**CASA(オーストラリア民間航空安全局)**へ書き換えました。

その際、CASAのATPL学科7科目も受講しています。

だからATPLという言葉に気後れすることはありませんでした。

しかし、マレーシアのDCA学科試験は別物でした。

同じATPLでも、国が違えば航空法も違う。

試験の傾向も違う。

重視されるポイントも違う。

だからこそ、ローカルの学生たちが持つ過去問や情報は何より貴重でした。

「この問題は毎回出る。」

「この分野は必ず見直しておけ。」

そんな情報が、合格への近道だったのです。


そして、いよいよ最初のDCA学科試験の日。

試験会場はマラッカではありません。

向かったのは、首都近郊・プトラジャヤにあった当時のDCA(Department of Civil Aviation)

現在は**CAAM(Civil Aviation Authority of Malaysia)**へ名称が変更されています。

日本でいえば、国土交通省航空局のように、パイロットライセンスや学科試験を管轄する航空当局です。

まだ夜が明けきらない時間。

7人は専属ドライバーのバンへ乗り込み、高速道路を北へ走ります。

普段なら誰かが冗談を言い、笑い声が響く車内。

しかし、この日だけは違いました。

教科書を見直す者。

窓の外を眺める者。

静かに目を閉じる者。

そして、相変わらず何を考えているのか最後まで分からないフクさん(笑)。

それぞれが、自分自身との戦いに向かっていました。


やがてプトラジャヤへ到着します。

目の前に広がっていたのは、近代的な官庁街でした。

整備された道路。

ガラス張りの建物。

美しく計画された街並み。

「本当にここがマレーシアなのか?」

当時、自分が抱いていた"発展途上国"というイメージは、一瞬で覆されました。

その中に、DCAの建物が見えてきます。

「あれか……。」

ニュージーランド。

オーストラリア。

アメリカ。

八重洲の居酒屋。

そして、マレーシア。

決して一直線ではなかった人生。

それでも、そのすべての経験が、この日のためにつながっていました。

深呼吸を一つ。

教科書を閉じる。

私はゆっくりとDCAの建物へ向かって歩き始めました。

ここが、エアラインパイロットへの新たな関門でした。


エアラインパイロットの憧れ……

夢への一番長い滑走路は、飛行機ではなく、自分自身の人生でした。

ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、日本、そしてマレーシア――。

遠回りに思えたすべての経験が、このDCA試験という新たな一歩につながっていたのです。😿


DCA(現在のCAAM)

※当時のDCA(Department of Civil Aviation)は、現在は**CAAM(Civil Aviation Authority of Malaysia)**へ名称が変更されています。


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