✈️海外エアラインへの道― 6カ国・5社を渡ってきた私が見てきた世界 ― Ep5
第5回 海外エアラインの面接で、何を見られている?
―「飛べる人」だけではなく、「一緒に飛べる人」―
海外エアラインを目指すなら、
「英語ができればいい」
「技術試験に合格すればいい」
そう考える人もいるかもしれません。
もちろん、英語力も技術的な知識も必要です。
でも、私がこれまで海外エアラインの採用や訓練を経験してきて感じるのは、
面接で見られているのは、それだけではない
ということです。
✈️「正解」を答えるだけが面接ではない
面接では、技術的な質問をされることがあります。
「この状況なら、どうしますか?」
「なぜ、その判断をしますか?」
そんな質問に対して、覚えてきた答えをそのまま返す。
もちろん、それで答えられる質問もあります。
しかし、実際の航空の世界では、いつも教科書通りの状況になるとは限りません。
だからこそ、
「何を答えるか」だけではなく、
「なぜそう考えたのか」
が大切になります。
自分の考えを説明できること。
そして、相手の意見を聞いて、自分の考えを修正できること。
これは、実際のコックピットでも非常に重要なことです。
✈️答えられない質問が来たら?
ここは、私自身の経験からお話しします。
面接では、当然ながらすべての質問に答えられるわけではありません。
私自身も、答えられない質問をされた経験があります。
そんなとき、無理に答えを作る必要はありません。
知ったかぶりをするより、
「分かりません」
と正直に伝える。
私は、それでいいと思っています。
ただし――
そこで終わらせない。
例えば、
「現時点では、そこまでの答えを持っていません。
ただ、次の機会までに調べて、答えを用意します。」
私は、こういう姿勢が大切だと考えています。
✈️「次の機会」につなげる
これ、単純に
「分からないから勉強します」
という話ではありません。
その言葉の中には、
「私は、この会社に入りたい」
という意思があります。
だから、
「次の機会までに答えを用意します」
と言える。
つまり、自分から次の機会を作ろうとしているわけです。
面接というのは、その一回ですべてを完璧に見せる場ではありません。
もちろん、その場で答えられることは大切です。
でも、人間ですから、知らないこともあります。
そこで大切なのは、
知らないことを、どう扱うか。
だと思います。
✈️「分かりません」は、悪い答えではない
実際のフライトでも同じです。
分からないことを、
「たぶん、こうでしょう」
と勝手に判断してしまうことのほうが危険です。
分からなければ、
「分からない」
と言う。
そして、
「では、どうやって確認するのか」
を考える。
マニュアルを確認する。
他のクルーに聞く。
必要な情報を集める。
そして、その情報をもとに判断する。
これは航空の基本的な考え方の一つです。
だから私は、
「分かりません」と言えること自体が問題なのではなく、
「分からないままにすること」が問題なのだと思っています。
✈️ CRMで大切なのは「自分が正しい」ことではない
コックピットは、一人で仕事をする場所ではありません。
機長と副操縦士。
そして客室乗務員、整備士、ディスパッチャー、管制官など、さまざまな人と関わりながら一つのフライトを運航します。
だからこそ、
「自分の答えが正しい」
という姿勢だけでは、うまくいきません。
相手の意見を聞く。
違うと思ったら、その理由を説明する。
相手の考えに納得できる部分があれば受け入れる。
そして、自分が間違っていたなら、
素直に認める。
これは、面接のために作る態度ではありません。
普段からどういう人間でいるか。
そこが、いざというときに出ます。
✈️「飛べる人」だけではなく「一緒に飛べる人」
海外エアラインが求めるパイロットを考えるとき、
もちろん、
飛行技術
は重要です。
英語力も必要です。
知識も必要です。
でも、それだけではありません。
一緒に仕事をする仲間から、
「この人と一緒に飛びたい」
と思ってもらえるか。
意見が違ったときに、冷静に話し合えるか。
分からないことを、分からないと言えるか。
間違えたときに、素直に認められるか。
そして、そこから学んで次に生かせるか。
私は、こういう部分もプロのパイロットとして非常に大切だと思っています。
✈️面接のために「演じる」のではない
ここで一つ、大切なことがあります。
面接だから、
「私はコミュニケーション能力があります」
「私はチームワークを大切にします」
と話すことはできます。
でも、実際の訓練や仕事が始まれば、普段の姿勢は必ず出てきます。
だから、
面接のときだけ良い人を演じる必要はありません。
むしろ、
普段から人の話を聞く。
分からないことは確認する。
自分の間違いを認める。
違う意見を最初から否定しない。
そういう積み重ねが、結果として面接にも表れるのだと思います。
✈️私が海外エアラインで経験してきたこと
私自身、これまで複数の国、そして複数のエアラインで仕事をしてきました。
会社が変われば、文化も違います。
訓練のやり方も違います。
考え方も違います。
そのたびに、
「自分が正しい」
だけでは通用しない場面がありました。
相手の考えを理解し、そのうえで自分の意見を伝える。
時には、自分の考えを変える。
そして、分からなければ学ぶ。
その繰り返しでした。
だから今、パイロットを目指す人に伝えたいのは、
「面接で正解を言うこと」だけを目標にしないでほしい
ということです。
✈️今日のあなたが、未来のあなたを作る
海外エアラインの採用では、これまでの訓練や仕事、人との関わりも含めて、自分自身を見られることがあります。
前回の第4話でも書いたように、過去の経験や記録が、自分のキャリアから完全に消えてなくなるわけではありません。
だからこそ、
今日の訓練。
今日の仕事。
今日の人との接し方。
その一つひとつが、将来につながっていきます。
そして、これは「面接対策」だけの話ではありません。
プロとして、どう仕事をするのか。
その姿勢の話です。
✈️おわりに
海外エアラインの面接。
そこでは、
「この人は飛べるのか?」
だけではなく、
「この人と一緒に仕事ができるのか?」
という視点も重要になります。
答えられない質問があったっていい。
知らないことがあったっていい。
大切なのは、
分からないなら、分からないと言う。
そして、次に向けて学ぶ。
そして、
「次の機会までに答えを用意します」
と、未来につなげること。
それは、私自身が経験してきた中で感じた、海外エアラインを目指すうえでの大切な姿勢の一つです。
「飛べる人」だけではなく、
「一緒に飛べる人」へ。
それは、面接の日だけ作るものではありません。
今日からの訓練、仕事、そして人との関わり方。
そのすべてが、あなた自身の「プロとしての姿勢」になっていくのだと思います。
そして、それこそが私がSora Fun Entertainmentで大切にしている、
「技術継承」
にもつながっています。
知識ではなく、経験を。
答えではなく、考え方を。
資格ではなく、プロとしての姿勢を。
次回は、海外エアラインを目指すなら**「いつ動くのか」**について、私自身の経験も交えながらお話ししたいと思います。
SFEの理念👇
https://sorafunentertainment.com/philosophy/
【Author】
Haruo Shibasaki
Founder, Sora Fun Entertainment
Airline Pilot / A320 First Officer
Total Flight Time: 7,000h (A320: 4,000h)
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