✈️海外エアラインへの道 ― 6カ国・5社を渡ってきた私が見てきた世界 ―
第1回 「飛行時間」だけでは決まらない。海外エアライン採用のリアル
序章 海外エアラインに行くには、何が必要なのか?
「海外エアラインで働きたい。」
そんな相談を受けることがあります。
そのとき、よく聞かれるのが、
「何時間飛べば行けますか?」
「どのライセンスが必要ですか?」
「英語はどのくらいできればいいですか?」
という質問です。
もちろん、飛行時間も資格も英語力も必要です。
しかし、私はこれまで6カ国、5社のエアラインで仕事をしてきました。
その経験から、一つ言えることがあります。
海外エアラインへの就職は、飛行時間や資格だけで決まるものではありません。
今回は、私自身の経験をもとに、
日本人が意外と知らない「海外エアライン採用の現実」
についてお話ししたいと思います。
第一章 あなたは「今」だけを見られているわけではない
海外エアラインを受けようと思うと、多くの人は応募条件を調べます。
飛行時間。
ライセンス。
機種経験。
英語力。
もちろん大切です。
でも、採用側が見ているのは、それだけではありません。
「これまで、どんなパイロットだったのか。」
これも非常に重要です。
どこで訓練を受けてきたのか。
訓練時代の成績はどうだったのか。
チェックではどうだったのか。
これまでどの会社で働いてきたのか。
その会社でどんな評価を受けてきたのか。
こうしたものは、自分のキャリアの一部として積み重なっていきます。
「昔の成績なんて、今さら関係ない。」
そう思う人もいるかもしれません。
しかし、パイロットという仕事では、
過去の積み重ねそのものが、その人を判断する材料になる。
私はそう考えています。
第二章 この業界は、本当に狭い
そして、もう一つ。
海外エアラインを目指す人に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
それは、
航空業界は、皆さんが思っている以上に狭い。
ということです。
特にパイロットの世界では、
「この人、前に一緒に飛んでいたな。」
「この人、昔あの会社にいたな。」
ということが、本当にあります。
私は6カ国、5社を渡って仕事をしてきましたが、
国が変わっても、
会社が変わっても、
以前一緒に働いた人と、別の場所で再会することがありました。
決して珍しいことではありません。
だから私は、海外エアラインを目指す人には、
「あなたのことを知っている人が、どこかに必ずいる」
くらいに思って仕事をしてほしいと思っています。
今日、一緒に飛んでいる人。
今日、訓練を担当している人。
今日、チェックをしている人。
その人が、数年後には別の会社にいるかもしれない。
そして、そこでまた自分と交わるかもしれない。
第三章 人脈=コネではない
ここで、
「じゃあ、人脈があれば海外エアラインに入れるの?」
と思うかもしれません。
もちろん、そんな単純な話ではありません。
私が言う「人脈」は、
誰かに頼んで採用してもらうことではありません。
一緒に仕事をした人からの信頼です。
「あの人は仕事ができる。」
「あの人なら安心して一緒に飛べる。」
「あの人はCRMがしっかりしている。」
そういう評価が積み重なっていく。
それが、いつか次の仕事につながることがあります。
だから私は、
「人脈を作らなければ。」
と考えるより、
「信頼される仕事をしよう。」
と考える方が大切だと思っています。
人脈は、作るものというより、
日々の仕事の結果として残っていくものなのだと思います。
第四章 過去の成績も、あなたについてくる
もう一つ覚えておいてほしいのが、
過去の成績や評価です。
訓練時代の成績。
チェックでの評価。
勤務先での評価。
その人の仕事ぶり。
こうしたものは、その会社を辞めたからといって、すべてが消えるわけではありません。
次の会社へ行くとき、
あなた自身の「履歴書」は、紙に書かれたものだけではありません。
一緒に仕事をした人たちの記憶も、あなたの履歴書の一部です。
私は、これは海外エアラインを目指す人ほど意識しておくべきことだと思っています。
第五章 採用試験の日に、自分を作っても遅い
海外エアラインの採用試験が決まると、
そこから一生懸命準備を始める人がいます。
もちろん、それも必要です。
ただ、
本当の意味での採用準備は、もっと前から始まっています。
日々の訓練。
日々のフライト。
チェックへの向き合い方。
人との接し方。
失敗したときの対応。
そうした一つ一つが、
将来の自分の評価につながっていきます。
つまり、
「海外エアラインを受ける日」
ではなく、
今日からの仕事そのものが、就職活動なのです。
終章 6カ国・5社を渡ってきて思うこと
私はこれまで、
6カ国、5社のエアラインで仕事をする機会がありました。
国が変われば文化も変わる。
会社が変わればルールも変わる。
それでも、どこへ行っても変わらないものがありました。
それは、
「結局、人は人を見ている」
ということです。
飛行時間も大事。
資格も大事。
英語力も大事。
でも、
それまで何をしてきたのか。
どういう評価を積み重ねてきたのか。
誰と仕事をしてきたのか。
そして、その人から信頼されているのか。
そうしたものが、次のキャリアを作っていきます。
海外エアラインを目指している人に、最初に伝えたいことがあります。
採用試験の日だけ、海外エアラインにふさわしい自分を作ろうとしても遅い。
今の訓練。
今のフライト。
今の人間関係。
今の仕事への姿勢。
そのすべてが、
未来の自分を作っています。
そして、この業界は本当に狭い。
あなたが思っている以上に、
あなたを知っている人は、世界のどこかに必ずいます。
だからこそ、
一日一日を大切にしてほしい。
目の前の仕事を大切にしてほしい。
いつか海外エアラインに行くためではなく、
今日から「一緒に働きたい」と思ってもらえるパイロットになる。
私は、それが海外エアラインへの道の第一歩だと思っています。
SFEの理念👇 https://sorafunentertainment.com/philosophy/ 【Author】 エアラインパイロットの仕事や海外エアラインのリアルについて、実体験をもとに発信しています。 ▶ コラム一覧はこちら👇 https://sorafunentertainment.com/column/
Haruo Shibasaki
Founder, Sora Fun Entertainment
Airline Pilot / A320 First Officer
Total Flight Time: 7,000h (A320: 4,000h)📚 関連記事一覧
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