✈️海外エアラインへの道 ― 6カ国・5社を渡ってきた私が見てきた世界 ― Ep2
第2回 英語ができれば受かる?― 海外エアラインに必要な「本当の英語力」 ―
序章 「英語ができる」とは、何だろう
海外エアラインを目指している人と話をしていると、
「英語ができないと無理ですよね。」
という言葉をよく聞きます。
もちろん、海外エアラインで働く以上、英語は必要です。
でも、ここで一つ考えてほしいことがあります。
「英語ができる」とは、いったい何でしょうか。
TOEICの点数が高いこと?
英検の級を持っていること?
ネイティブのように話せること?
私は、少し違うと思っています。
海外のエアラインでパイロットとして仕事をするために必要なのは、
「英語を話す能力」だけではなく、「英語を使って仕事をする能力」
です。
第一章 英語が上手い人=仕事ができる人、ではない
パイロットの世界では、
「英語がペラペラ」
だからといって、その人が優秀なパイロットとは限りません。
逆に、母国語が英語ではなくても、
必要なことを正確に伝え、
相手の言っていることを正しく理解し、
必要な場面で確認し、
誤解があれば修正できる。
そういう人は、コックピットで非常に強いです。
航空の英語に必要なのは、
かっこよく話すことではありません。
安全のために、
正しく伝わること。
そして、
正しく理解すること。
ここが何より重要です。
第二章 海外で本当に困るのは「話せないこと」ではない
海外で仕事をすると、
「英語が話せない」
ことよりも、
「分かったつもりになること」
の方が怖いことがあります。
相手の説明を何となく理解したつもりになって、
「OK」
と言ってしまう。
でも、本当はよく分かっていない。
これは、航空の世界では非常に危険です。
だから私は、
分からないときに、
**「分かりません。」
「もう一度お願いします。」
「つまり、こういう意味ですか?」**
と言えることの方が、ずっと大切だと思っています。
英語力とは、
「どれだけ難しい英単語を知っているか」
ではありません。
「分からないことを、分からないままにしない力」
も、立派な英語力です。
第三章 航空英語は「会話」ではなく「コミュニケーション」
航空の現場では、長い会話を楽しむために英語を使うわけではありません。
短く。
明確に。
正確に。
必要な情報を伝える。
そして相手の意図を理解する。
それが求められます。
たとえばコックピットでは、
「I think maybe...」
と曖昧に話すより、
「We have a problem with...」
「I recommend...」
「Confirm...」
と、必要なことを明確に伝える方が重要な場面があります。
そして、相手の発言を聞いて、
「Confirm...」
と確認する。
これも立派なコミュニケーションです。
つまり、
航空英語は「英会話」ではありません。
「仕事を安全に進めるためのコミュニケーション」です。
第四章 「ネイティブ英語」を目指さなくていい
海外エアラインを目指している人の中には、
「ネイティブみたいに話せないとダメなんじゃないか。」
と悩む人がいます。
私は、そこまで気にする必要はないと思っています。
実際のコックピットには、
いろいろな国籍のパイロットがいます。
英語が母語ではない人もたくさんいます。
むしろ重要なのは、
相手に合わせて伝え方を変えられること。
そして、
聞き取れなければ聞き返せること。
自分の英語が完璧ではないことを理解しながら、
必要な場面で正確にコミュニケーションを取る。
その方が、ずっとプロフェッショナルです。
第五章 6カ国・5社を経験して感じたこと
私はこれまで、6カ国、5社のエアラインで仕事をしてきました。
そこで実感したのは、
「英語の上手さ」と「仕事上のコミュニケーション能力」は別物だ
ということです。
会社が変われば、
アクセントも変わる。
話すスピードも変わる。
文化も変わる。
同じ英語でも、最初は戸惑うことがあります。
そんな環境で必要だったのは、
「完璧な英語を話すこと」ではありませんでした。
相手の言っていることを理解する。
必要なことを自分から伝える。
分からなければ聞き返す。
誤解があれば、その場で修正する。
そして、
相手に伝わるまで責任を持つ。
私は、これが海外で働くための本当の英語力だと感じています。
第六章 英語は「道具」
パイロットにとって、英語は目的ではありません。
道具です。
飛ぶために使う。
安全を守るために使う。
チームで仕事をするために使う。
だから、
「英語を勉強してから海外へ行こう」
と考えすぎる必要はありません。
もちろん勉強は必要です。
でも、
実際に使うことでしか身につかない英語
もあります。
聞いて、
話して、
間違えて、
直して、
また使う。
その繰り返しで、少しずつ「仕事で使える英語」になっていきます。
終章 海外エアラインを目指すなら
海外エアラインを目指す人に、私が伝えたいことがあります。
目指すべきなのは、
「英語が上手いパイロット」ではありません。
「英語で仕事ができるパイロット」
です。
分からないことを確認できる。
必要なことを明確に伝えられる。
相手の話を正しく理解できる。
そして、チームとして安全に仕事を進められる。
それが、海外エアラインで求められる英語力だと思います。
そして、もう一つ。
「英語が苦手だから海外には行けない」
と最初から諦めないでください。
英語は、努力によって伸ばすことができます。
私自身も、最初から今のように英語を使えていたわけではありません。
大切なのは、
「完璧になってから海外へ行く」
ではなく、
「海外で仕事をするために、今から英語を仕事の道具に変えていく」
ことです。
第1回でも書きました。
海外エアラインへの道は、採用試験の日から始まるわけではありません。
それは英語も同じです。
今日から、英語で仕事をすることを意識する。
その積み重ねが、いつか海外のコックピットにつながっていくのだと思います。
SFEの理念👇
https://sorafunentertainment.com/philosophy/
【Author】
Haruo Shibasaki
Founder, Sora Fun Entertainment
Airline Pilot / A320 First Officer
Total Flight Time: 7,000h (A320: 4,000h)
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