ⅵ.いざ授業が始動
翌朝、教室に足を踏み入れると、すでに変わらず20名ほどの受講生が席についていた。空気はほどよく張りつめ、異国情緒あふれる雰囲気が漂う。それぞれに挨拶を交わし、ひときわ目立つ生徒に出身国を尋ねると、不潔そうなドレットヘアーの人物は「パプアニューギニア…」と答えた。正直その国は想像できなかったが、頭の中にはジャマイカ人のイメージが浮かぶ ボブ・マーリーみたいな…..。
自分も席に着くと、隣にはマレーシアからやってきた同僚のナワブが座っていた。年下で、しかも英語は堪能。しかし、その真面目さは尋常ではなく、すでに初対面で僕に説教を始める。
午前中の Aerodynamics and Aircraft Systems が始まると、黒板にはB767を基本としたシステム図がずらりと並ぶ。数字、記号、複雑なFMA表示…目がチカチカして頭がパンクしそうだ。ペンを握る手も震える中、ナワブはすかさず声をかけてきた。

航空用の**ナビゲーションコンピューター(航法計算機)
「Shiba、まずプライマリーシステムを理解してからオートパイロットを見ないと混乱します。それとノートの取り方も雑すぎます!」
年下に説教されるとは思わず肩をすくめたが、ナワブの鋭くも的確な指摘は、混乱していた頭に小さな光を差し込む。何度も間違える僕に、彼は容赦なく指摘を繰り返す。時折、僕の焦った顔を見てくすっと笑うのも、意外と癪に障る。
昼休みを挟み、午後は Flight Planning。B727のフライトプラン計算に挑む。Navコンピューターを駆使して風を考慮した速度やドリフト角度を計算し、三発エンジンのドリフトダウンや燃料計算、到達時間をひたすら求める。頭はぐるぐる回り、計算用紙は数字で埋め尽くされる。
「Shiba、順序がめちゃくちゃですよ!落ち着いて、まず初めに…を確認して、それから…」
またナワブの説教が飛ぶ。年下のくせに容赦なし。しかしその指摘のおかげで、自分のどこが間違っていたのかが少しずつ見えてくる。
授業後、教室を出ると頭はまだフル回転している。でも、不思議と達成感もあった。午前・午後1科目ずつのリズム、ナワブの厳しいが的確な助言、そして自分の試行錯誤。すべてが、空を目指す旅の一部であり、4週間という短期集中コースの序章にすぎない。
夕暮れの光が差し込む窓を見上げ、静かに息をつく。家に帰宅すると現実が待っていた。晩ご飯の支度、洗濯、今日の復習…はぁ、すでに疲労困憊。だが、それでも胸の奥には、ATPLの旅が確実に未来の空への一歩であることを感じていた。
今日はここまでにします。
アラインパイロットの憧れ。。。人生一番勉強した😿 ふつーに萎えます
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