✈️怒涛のマレーシア編
Ⅵ. それぞれの「PASS」
マレーシアで迎えた、人生初のDCA学科試験。
試験を終えたからといって、私たちの生活が大きく変わるわけではなかった。
Malaysia Flying Academyでは次の科目の授業が始まり、放課後は予習と復習。
結果は気になる。
でも、待っているだけでは前に進めない。
私はコウイチと、お互いのコンドミニアムを行き来しながら勉強を続けていた。
分からない問題を教え合い、過去問を見比べ、集めた情報を共有する。
今振り返ると、この頃からすでに「情報を共有すること」の大切さを実感していたのかもしれない。
📩 ついに届いた試験結果
数日後。
授業を終え、何気なくメールを開く。
受信箱には、DCAから一通のメールが届いていた。
「来たか……。」
深呼吸をして、メールを開く。
そこに書かれていたのは――
PASS
人生で初めて受験したマレーシア航空当局の学科試験。
最初の2科目を無事に突破することができた。
思わず拳を握りしめた。
もちろん嬉しかった。
しかし、すぐにやることがあった。
当時は、試験結果や訓練の進捗をエージェントのKさんへ報告することが、半ば義務のようになっていた。
私はすぐに電話をかけた。
「Kさん、最初の2科目、合格しました。」
返ってきたのは、いつもの落ち着いた声だった。
「おめでとう。でも、まだ4科目残ってるからね。」
その一言で、自然と気持ちが引き締まった。
一つの試験に合格しても、それで終わりではない。
パイロットへの道は、次から次へと次の関門が現れる。
それを改めて実感した瞬間だった。
✈️ 同じ試験を受けても、結果はそれぞれ
その日の夜。
コンドミニアムでは、自然と試験結果の話になった。
「どうだった?」
「2科目とも受かった。」
「俺も大丈夫。」
あちこちで安堵の声が聞こえる。
そんな中、フクさんが関西弁で笑いながら言った。
「一つ落としてもうたわ。」
アメリカでフライトインストラクターをしていた経験もあり、知識も豊富だったフクさん。
だからこそ、その言葉は少し意外だった。
経験があっても、簡単には合格できない。
DCA学科試験の難しさを改めて感じた。
一方で、つまさんは終始静かだった。
普段から、自分から積極的に話すタイプではない。
勉強も基本的には一人で進めていた。
しばらくして、小さな声で言った。
「……一つも受からなかった。」
同じ授業を受けて。
同じ試験を受けて。
同じ「パイロットになる」という目標を持っていても、結果は同じではない。
この頃から、7人それぞれの進み方に少しずつ差が出始めていた。
🤝 海外での訓練は、勉強だけではない
海外でパイロットを目指していて感じたのは、勉強することと同じくらい、人とのコミュニケーションや情報交換が大切だということだった。
ローカルの学生から聞く試験の傾向。
教官ごとの特徴。
過去問のポイント。
どんな訓練をしているのか。
そうした情報は、教科書には載っていない。
コウイチと一緒に勉強し、お互いに情報を共有していた時間。
今振り返ると、それが後の訓練にも大きく影響していったと思う。
海外で夢を追うのは、ある意味では個人戦。
でも同時に、一人では得られない情報や経験を、仲間と共有することも重要だった。
🍺 クアラルンプール・モントキアラでのご褒美
私たちには、もう一つ楽しみがあった。
試験結果や訓練の進捗を報告するため、ときどきクアラルンプールのモントキアラにあるKさんのオフィスを訪ねることだった。
近況を報告する。
訓練の状況を話す。
学校で起きていることを伝える。
そして、話が一段落すると――
「お疲れさま。今日は日本食でも食べに行こう。」
これが私たちへのご褒美だった。
居酒屋で食べる刺身。
焼き鳥。
枝豆。
唐揚げ。
そして、冷えたビール。
マレーシアに来てから、日本食が恋しくなかったわけではない。
だから久しぶりに食べる日本の味は、本当においしかった。
Kさんは食事をしながら、私たち一人ひとりの話に耳を傾けてくれた。
訓練のこと。
生活のこと。
将来のこと。
そしてまた、
「次も頑張ろう。」
そう思って、私たちはマラッカへ戻っていく。
今思えば、あの時間も訓練生活を続けるための大切なエネルギーだったのかもしれない。
人生初のDCA学科試験。
私にとっては、最初の2科目を無事にPASS。
しかし、7人全員が同じ結果だったわけではない。
順調に進む者。
苦戦する者。
それぞれが、それぞれのペースで前へ進んでいた。
そして私たちの訓練は、まだ始まったばかりだった。
次の試験。
次の訓練。
そして、その先にあるエアラインパイロットという目標。
一つの「PASS」に喜びながらも、私たちはまた次のページへ進んでいく。
✈️エアラインパイロットの憧れ……
異国の地で受け取った「PASS」のメールも嬉しかった。
でも、仲間と囲んだ日本食の温かさは、それ以上に、
「また前へ進もう」
と思わせてくれる、最高のご褒美でした。😿
🇲🇾 Shibaのマレーシア豆知識 ~マレーシアの交通事情~
🚗 車社会の国
マレーシアは車社会。都市間は高速道路が発達していて、私たちもマラッカからクアラルンプールやプトラジャヤへ、専属ドライバーのバンで移動していました。
🛣️ 一方通行がとにかく多い!
初めて運転すると驚くのが、一方通行の多さ。
「目的地は目の前に見えているのに、なかなかたどり着けない……。」
そんなことが何度もありました(笑)。
🚦 日本と同じ左側通行
イギリス統治時代の影響もあり、日本と同じ左側通行・右ハンドル。
日本人にとっては比較的運転しやすい環境です。
🚖 現在は配車アプリが便利
現在のマレーシアではGrabなどの配車サービスが便利。
旅行者でも移動しやすくなっています。
🚗 日本車も大活躍
街中ではトヨタやホンダなどの日本車を多く見かけます。
一方で、マレーシアの国産メーカーであるプロトンやペロドゥアも、現地ではおなじみの存在です。
🇲🇾 マレーシアで運転すると、「目の前に見えているのに着けない!」という不思議な体験ができるかもしれません(笑)。でも、それもまた現地生活の思い出の一つです。 ✈️
そんな方のために、現役エアラインパイロットが無料でキャリア相談を行っています。 お気軽にお問い合わせください。関連記事
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