㊽Shibaのエアラインパイロットになちゃった大冒険記!!

query_builder 2025/05/29
パイロット 飛行機 フライトスクール
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ⅸ 試験の後、沈黙の中で揺れる心──そして、「Hakuna matata」がくれた再生の光

試験が終わったあの日、空はやけに青く、風はやけに冷たく感じました。
私の心の中では、ただ一つの言葉が重たく響いていました。

「落ちた──」

現実がじわじわと押し寄せてくる中、リー教官とのミーティングが行われました。
彼は開口一番にこう言いました。

「お前は特に問題ないよ。理解してるし、次は絶対に受かるから。」

──その言葉が、なぜか、まるで何の意味も持たないように感じられたのです。
言葉としては励ましのはずなのに、私の心には一滴も届かなかった。
まるで、ガラス越しに他人事の声を聞いているような感覚。
**「何もわかっていない…」**と、胸の奥でつぶやく自分がいました。

落胆と自己否定がぐるぐると頭の中を巡り、
「なぜ誰も、こんなにも打ちひしがれている私に寄り添ってくれないのか」と、
孤独の闇に沈んでいくのを止められませんでした。😿


そんな時、心の支えを求めて私はムサウに電話をかけました。
ケニア出身の親友──
言葉にできないほど頼りになる存在です。

受話器越しに、彼の穏やかな声が届いた瞬間、
私の中で張り詰めていた何かが、少しだけ緩みました。

「心配するなよ」
彼はそう言い、続けてこう付け加えました。

「Hakuna matata」

そのときは意味も分からず、ただ異国の響きが静かに心にしみていきました。
そして、まるでその言葉に魔法がかかっているかのように、
ムサウが私の肩を軽く叩いた、その瞬間──
心の氷がふっと溶けた気がしたのです。

後から調べて分かったその意味は、
スワヒリ語で「くよくよするな」「大丈夫、なんとかなる」──まるで沖縄の「なんくるないさ」のような、
人生を包み込むようなやさしい哲学でした。

その瞬間、私はもう堪えきれず、涙が頬をつたいました。
悔しさと安堵と…そして、ようやく誰かに気持ちを受け止めてもらえたという救い。
心の奥深くで、何かがそっと灯り始めた気がしました。


それから10年後──
私はムサウの故郷、ケニア・ナイロビの大地に立ちました。
乾いた風、赤土の香り、そして人々の笑顔。
あのとき彼がかけてくれた「Hakuna matata」が、
どれほど私の人生を支えてくれたのか──すべてを実感しました。

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試験の失敗の原因も、時間をかけてようやく冷静に分析できるようになりました。
それは、ホールディング中にトラックを逸脱してしまったこと
NDBの真上付近でホーミングを続けていた私は、
コンパスの針の挙動が乱れたことで、迷いと混乱に襲われました。

NDBに近づきすぎると、ADFは正確な方位を示せなくなります。
それを知らず、あるいは焦りから見落としていた私は、
その針を無理に追いかけるあまり、コースアウト
さらには、空間失調に陥るという最悪の結末を迎えてしまったのです。

悔しさと自己嫌悪が入り混じり、心はずたずたになっていました。
けれど、ムサウとともに過ごした時間の中で、
少しずつ、原因と対策がクリアに見えてきました。


そして、気づいたこと。

「どれほど優れた技術を持っていても、人は一人では立ち上がれない。」

どんなに強くあろうとしても、
本当に必要なのは、支えてくれる“誰か”の存在。

ムサウがいたからこそ、私は立ち直ることができたのです。
彼の「Hakuna matata」は、単なる言葉以上の力を持っていました。
それは人生を再び信じる勇気をくれた、
私の中の“不屈”を呼び覚ます魔法のようなフレーズだったのです。


この章は、ただの“失敗談”ではありません。
これは、再生と友情、そして人間としての成長の物語
それを胸に、私は再び、空への挑戦を始めたのでした。

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エアラインパイロットの憧れ… Hakuna matata ☺


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