ⅱⅹⅴ 続 Force Landing 訓練の記憶
前回に続いて、今回はForce Landingについて、当時の体験を交えて語ろうと思います。Force Landingとは文字通り『強制的に着陸』することで、上空で何らかのトラブルが発生し、飛行が継続できない状況で滑空できる範囲内で着陸できる場所(パドック)を見つけて降りる作業です。
主なトラブルはやはりエンジン故障が挙げられます。最近ではアメリカの俳優ハリソン・フォードが経験したことがあります(間違っていたらすみません)。また、非常に有名な例としては、映画にもなったハドソンリバーの奇跡があります。このケースでは、離陸後にバード・ストライクによって両エンジンが故障し、限られた滑空時間の中で、パニック状況の中でハドソン川に着陸を試み、無事に全員が生還したというまさに奇跡の出来事でした。
不意に起こる状況でまず考慮しなければならないことは、小型機の場合、『風の方位』を確認することです。着陸は基本的に向かい風で行います。つまり、風下の方角に適切なパドックがあるかどうかを探します。そして、散々練習したサーキットパターンを組んで、なるべくダウンウインドレグ、ベースレグ、ファイナルと計画を立てます。滑空中に高度が低すぎると選択肢が少なくなるため、やや高めの高度が理想です。パドックは例えば街中などでは見つけるのが困難ですが、主にハイウェイや大きめの道路、公園などが挙げられます。ここでトリッキーなのは電線です。上空からでは見づらいことがあります。
最初のForce Landing(以下FL)の珍事件を語ろうと思います。無事ソロフライトも終え、クロスカントリーのための訓練でFLに移行しました。教官はA氏で、クライストチャーチ空港から10分ほど離れたプライベート空港へ向かっていました。そこでA氏は突然エンジンパワーをアイドル状態にして、『え?』と思った瞬間、『Force Landingしてください!』と言われました。風上、高度などを考慮し、私は羊の牧場を見つけてそこを目指してサーキットパターンを組みました。訓練なので、地上から500フィートの位置で安全に着陸できると確信できれば『GO AROUND』して訓練終了となるのですが、A氏は『このまま降りてください!』と指示。『マジですか?』と思いつつも指示に従いました。着地地点には無数の羊が草を食べており、突然小型機が接近したため驚いて逃げて行き、地割れのように滑走路が現れ、本当に着陸してしまいました😿
ニュージーランドだからこそできた貴重な体験でした。
今日はここまでにします。
パイロットの憧れ、サレンバーガー機長に敬意を表し、心から尊敬しています。あなたはとても偉大です!
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