✈️海外エアラインへの道― 6カ国・5社を渡ってきた私が見てきた世界 ― Ep7

query_builder 2026/10/17 エアラインパイロット パイロット テクニカル 子ども 自宅 資格 飛行機 エアバス 海外 就職 中高生 趣味
画像3762

第7回 日本人パイロットが海外で苦労すること

― 技術よりも難しい「文化の違い」 ―

― 技術より難しいのは、「言うべきことを言う」こと ―

海外エアラインで働く。

そう聞くと、多くの人はまず、

「英語が大変そう」

と思うかもしれません。

もちろん英語は大切です。

でも、実際に海外のコックピットに入ってみると、
もっと難しいものがあります。

それは――

「自分の意見を、きちんと伝えること」

です。


序章 日本では「空気を読む」が美徳になる

日本では、

相手の気持ちを察する。
場の空気を読む。
先輩や上司を立てる。
あえて反対意見を言わない。

こうしたことが、ある意味で「大人のコミュニケーション」とされることがあります。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

むしろ日本人の良さでもあります。

ところが――

コックピットでは、それが裏目に出ることがある。

Captainの判断に、

「ちょっと違うんじゃないか?」

と思った。

でも、Captainだから言いにくい。

あるいは、

「たぶん自分の考えが間違っているかもしれない」

と遠慮してしまう。

そして黙ってしまう。

これは、CRMの考え方とは相反します。

コックピットでは、
安全に必要なことを言うことも、パイロットの仕事だからです。



第一章 Captainに意見を言っていいのか?

海外で飛び始めた頃、多くの日本人パイロットが戸惑うのがここです。

「Captainにそんなこと言っていいの?」

答えは、

言っていい。

むしろ、

言わなければならない場面がある。

Captainが間違っているかもしれない。

自分が間違っているかもしれない。

どちらなのか、その時点では分からない。

だからこそ、First Officerが意見を出す意味があります。

CRMは、

「Captainが正解を出して、First Officerが従う」

という仕組みではありません。

二人の視点を使って、より安全な判断をする。

そのために、First Officerの存在があります。



第二章 CRMは「仲良くすること」ではない

CRMというと、

「コミュニケーション能力」

「チームワーク」

「仲良く仕事をすること」

というイメージを持つ人もいるかもしれません。

でも、本質はもっと厳しい。

安全のために、必要なことを必要なタイミングで言えること。

そして、

相手の意見を受け入れられること。

この両方が必要です。

自分の意見を押し通すだけでも駄目。

相手に合わせて黙るだけでも駄目。

その間にあるのが、
**Assertiveness(アサーティブネス)**です。



第三章 いきなり「NO!」ではない

私が経験してきたCRMでは、懸念を伝える際に、状況に応じて段階的にアサーションを強めていく考え方があります。

一例として、

Relay → Advice → Assert → I have control

という流れです。

Relay

まず情報を伝える。

“Weather is deteriorating.”

「天候が悪化しています」


Advice

次に、自分の考えを伝える。

“I think we should consider diverting.”

「ダイバートを検討したほうがいいと思います」



Assert

それでも必要なら、懸念を明確にする。

“I am concerned about this situation.”

「私はこの状況を懸念しています」

さらに、

“I strongly recommend that we divert.”

「私はダイバートを強く推奨します」


I have control

それでも安全上必要であれば、操縦を引き取る。

もちろん、具体的な手順や表現は会社や訓練体系によって異なります。

大切なのは、

最初から相手を否定するのではなく、必要に応じて声を強めていくこと。

これがアサーティブネスの考え方です。


第四章 「意見を言う」と「相手を否定する」は違う

ここは海外で働くうえで、とても重要だと思います。

「Captain、それは間違っています」

と言う必要はありません。

むしろ、

「私はこう考えています」

「私はここが気になります」

「別の選択肢もあると思います」

と伝える。

そして相手の意見を聞く。

意見が違っていい。

CaptainとFirst Officerが同じことしか考えないのであれば、クロスチェックの意味がありません。

違う視点があるからこそ、
もう一度考えることができる。

それがチームです。


第五章 「分かりません」と言えるか

海外で働いていると、これも非常に大切です。

「分かりません」

「もう一度確認したいです」

「私はこう思います」

「Sorry、私のミスです」

こういう言葉を言えること。

日本人にとっては、意外と難しいかもしれません。

特に、

「こんなことも分からないのかと思われたらどうしよう」

という気持ち。

でも、コックピットでは、

分からないことを分からないままにするほうが危険です。

分からないなら聞く。

間違えたなら認める。

そして修正する。

これは恥ずかしいことではありません。

むしろ、プロとして必要な姿勢です。


第六章 海外で必要なのは「強くなること」ではない

海外で働くために、

日本人らしさを捨てる必要はありません。

謙虚さも大切です。

相手を尊重することも大切です。

周囲を見る力も、日本人の大きな強みだと思います。

ただし、

「相手を尊重すること」と「自分の意見を言わないこと」は違う。

ここを理解する必要があります。

海外で飛ぶということは、

自分の常識を捨てることではありません。

違う価値観を理解したうえで、自分の考えを伝えられるようになること。

私は、これが海外で働くパイロットにとって非常に重要な能力の一つだと思っています。


終章 「一緒に飛べる人」になる

海外エアラインが求めているのは、

単純に「英語が話せる人」でも、

「操縦技術が高い人」だけでもありません。

もちろん、それらは大前提です。

そのうえで、

この人と一緒にコックピットに入りたいと思えるか。

これが大切です。

必要なときには言う。

相手の話も聞く。

分からなければ聞く。

間違えたら認める。

そして、安全のためなら、立場に関係なく声を上げる。


海外で飛ぶということは、
「外国人のようになる」ことではありません。

自分の強みを持ったまま、違う文化の中で仕事ができる人になること。

そして、そのためには――

「空気を読む」だけではなく、
「空気が悪くなっても言うべきことを言える」

そんなパイロットになる必要があります。

Relay → Advice → Assert → I have control.

これは単なるCRMの言葉ではありません。

海外のコックピットで働くための、
**「自分の声を出す技術」**でもあるのです。


✈️代表の一言


海外で飛んでいると、「日本だったら、ここまで言わないかな」と思う場面が結構あります。

でも、コックピットでは遠慮して黙っていることが、必ずしも良いことではありません。

気になったら言う。分からなければ聞く。間違えたら「ごめん」と言う。

これって、実はパイロットだけじゃなく、仕事をするうえで大切なことですよね。

私自身も、いろいろな国の人と飛ぶ中で、少しずつ身につけてきました。

そうした現場での経験も含めて、次の世代に伝えていきたい。

それが、私の考える**「技術継承」**です。

「飛べる人」だけじゃなく、


「一緒に飛びたい」


と思ってもらえるパイロットを目指してほしいですね。


SFEの理念👇

https://sorafunentertainment.com/philosophy/


【Author】
Haruo Shibasaki
Founder, Sora Fun Entertainment
Airline Pilot / A320 First Officer
Total Flight Time: 7,000h (A320: 4,000h)


▶ Profile


📚 関連記事一覧

エアラインパイロットの仕事や海外エアラインのリアルについて、実体験をもとに発信しています。


▶ コラム一覧はこちら👇

 https://sorafunentertainment.com/column/




【無料キャリア判定 実施中】



✔ 現役海外エアラインパイロットが直接対応

✔ あなたの可能性をリアルに診断

✔ 無理な勧誘なし



SFE流キャリア診断

ー3分で入力可ー



▶ お問い合わせはここをクリック🖱 ▶


Sora Fun Entertainment
ロゴ
現役のエアラインパイロットが自宅に訪問し、本格的な体験を楽しめるサービスをフライトスクールとして提供しています。また、エアラインパイロット志望者には技術的スキルだけでなく、健康面にも配慮したアドバイスを行います。
Sora Fun Entertainment
住所:

〒362-0805

埼玉県北足立郡伊奈町栄

Sora Fun Entertainment
ロゴ
現役のエアラインパイロットが自宅に訪問し、本格的な体験を楽しめるサービスをフライトスクールとして提供しています。また、エアラインパイロット志望者には技術的スキルだけでなく、健康面にも配慮したアドバイスを行います。
Sora Fun Entertainment

〒362-0805

埼玉県北足立郡伊奈町栄

NEW

CATEGORY

ARCHIVE

TAG